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中原淳一の「女学生服装帖」

2010.09.29 00:08
中原淳一の「女学生服装帖」 (少女の友コレクション)中原淳一の「女学生服装帖」 (少女の友コレクション)
(2010/09/17)
中原 淳一

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 少女雑誌「少女の友」に昭和12年から昭和15年にかけて連載されていた、中原淳一(1913~1983)によるファッション・エッセイ「女学生服装帖」がまとめられた豪華で素敵な一冊。意外なことに、書籍化されたのはこれが初めてなのだそう。雑誌の付録だった「スタイルブック」がフルカラーで収録されているのもうれしい。
 「『少女の友』創刊100周年記念号」が出た時に、一番全部見たい!と思ったのがこの連載だったので、実はかなり切実に書籍化を願っていたのでした(笑)。なので、書籍化が決まっことを知ったときは切実に嬉しかったです。実業之日本社さんありがとう!!
 
 「女学生服装帖」の魅力は、何と言っても中原淳一の描く華やかでハイセンスなファッション画でしょう。ウェストをきゅっと絞ったまるで戦後のニュールックみたいなワンピース、それに合わせたボレロや帽子、リボン、スカーフなどの小粋さ、選ばれているテキスタイルデザインの可愛らしさ…。これ、本当に戦争前夜の少女雑誌に載っていたデザインなの?!と思うくらい。
 ただ、当時を知る方たちの証言に拠れば、こういう服が当時の女性たちに実際に着られていたわけではないようですね。あくまで淳一の理想が描かれていたわけで、時局が日々厳しくなってゆく時代のなか、実際にそこに紹介されているような華やかな服を身に纏うことの叶わない少女たちがそれを熱狂的に支持していたのでしょう。
 「女学生服装帖」は、軍部からの圧力を受けて昭和15年5月号をもって終了、淳一自身も翌6月号で「少女の友」から姿を消します。時局に合わない不健康で華美なもの、というのがその主な理由でしたが、「女学生服装帖」をよく読んだなら、決してそんなことはないと気付きます。

 淳一が少女たちに伝えたかったのは、贅沢で華美なおしゃれではありませんでした。既製品の充実している現代とは違いまだまだハンドメイドが主流だった当時、この連載で取り上げられている洋服も型紙はもちろん生地などの素材も紹介されているのですが、ギンガムや木綿といった廉価な生地がほとんど。また、男物の袴や古い制服などを再利用して作る方法もよく出てきます。朝日新聞の記事だったかで読んだのですが、当時は実際にこういう方法で洋服を仕立て直すことは多く行われていたようです。田舎住まいの読者から内容が都会的すぎるという声を受けてそれに対応した回などもあり、読者の意見を大切にしていた淳一と編集部の姿が伺えます。こういうところからも、淳一が決して贅沢を奨めていたわけではないことがわかります(ただ、後半になるにつれ要望の増えたらしいもんぺに関しては、「あのままでよい」という理由から、ここで描かれることはありませんでした)。
 服装以外にも立ち振る舞いや身だしなみ、心掛けなどについて書かれたものも多くあり、淳一が少女たちに、外見だけではなく内面も美しい存在であれと願っていたことが伺えます。

 雑誌降板を受けた淳一の胸中は如何ばかりだったでしょう。彼の手による最後の『少女の友』の表紙に描かれたのは、それまで淳一が描いてきた夢見るような眼差しの少女ではなく、どこか強い決意を秘めた眼差しをした少女でした(本書161ページにカラーで掲載されています)。淳一はこの少女に何を込めたのでしょうか。

 書籍化されるにあたって、これが連載されていた頃の時代背景や雑誌『少女の友』に関すること、愛読者の声となども収録され、「女学生服装帖」について全く知らない人でも読み易く楽しめる内容になっていると思います。更に時事的なことや服に使用されている素材の用語などの解説も充実しているのは有り難い!
 かつての愛読者、淳一ファンはもちろん、誰もに手に取って欲しい一冊です。
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夜長姫

Author:夜長姫
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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

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