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アデル・ジェラス「バレエものがたり」

2011.06.20 23:40
バレエものがたり (岩波少年文庫)バレエものがたり (岩波少年文庫)
(2011/02/17)
アデル・ジェラス

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 「ジゼル」「コッペリア」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「火の鳥」の、6つのバレエの有名な作品をものがたりにした一冊。
 これらのバレエを知らなくても、どれもがお伽話や童話のように愉しめます。というか、原作がもともとそういうものがら採られているんだから、当然ですね(笑)。でも、原典とは若干あるいは大きく違っているものもちらほら。お伽話や童話とはまた違った「バレエ」の紡ぐ物語を味わえました。
 私はこれを読みながら、改めて原典を探してみたりしました(笑)。その一覧を挙げてみましたので、興味のある方はご覧ください。

◆ ジゼル ◆
 1841年、フランス、パリ・オペラ座で初演のロマンチックバレエの代表作。音楽はアドルフ・アダン(Adolphe-Charles Adam;1803~1856)。伝説的なバレリーナ、カルロッタ・グリジ(Carlotta Grisi;1819~1899)が初演したことでも有名。
 愛らしい村娘のジゼルにはロイスという恋人がいるが、実は彼はお忍びで遊びに来ている領主の息子アルブレヒト。そうとは知らず恋に落ちたジゼルは真実を知り、半狂乱のうちに死んでしまう。未婚のまま死を迎えた娘はウィリという精霊になり迷いこんできた男性を命が尽きるまで踊らせる。ジゼルもそうしたウィリになっていた。夜に森の中にあるジゼルの墓に来たアルブレヒトはウィリたちに捕まってしまう。けれども今はウィリとなったジゼルの助けで、彼は無事朝を迎える…。
 台本はロマン主義の詩人・小説家のゴーチエ(Pierre Jules Théophile Gautier;1811~1872)ですが、原作、というか着想はハインリッヒ・ハイネ(Christian Johann Heinrich Heine;1797~1856)の「精霊物語から。お恥ずかしながら積ん読の山からごそごそ探したら、ありました(笑)。近々読もうと思います。。


◆ コッペリア ◆
 1870年、フランス、パリ・オペラ座で初演。音楽はレオ・ドリーブ(Clément Philibert Léo Delibes;1836~1891)。
 少女スワニルダは、恋人のフランツが町の変わり者コッペリア博士のところに越してきたらしい少女に気があるらしいことを知って怒る。あとるき、コッペリウス博士が留守の時に博士の家に忍び込んだスワニルダは、その少女が実は博士の造った機械人形だと知り…。
 原作はドイツの幻想文学家、E・T・A・ホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann;1776~1822)の「砂男」。はつらつとしたヒロイン・スワニルダの明るいイメージそのままコミカルな印象のバレエとは違って、こちらはコッペリウスの作った人形に心を奪われ狂気に陥った青年が遂には自ら命を落とすという、何とも不気味でコワイお話。



◆ 白鳥の湖 ◆
 1877年、ロシア、モスクワのボリショイ劇場で初演。音楽はチャイコフスキー(Peter Ilyich Tchaikovsky;1840~1893)。
 いまでこそバレエの代名詞となっている作品ですが、初演当時はさっぱり評判が良くなくて、評判になったのは1895年にサンクトペテルブルクのマリンスキー劇場で改定版が上演されてから。
現在大ヒット中の映画「ブラック・スワン」がこのバレエをモチーフにしているので、関心のある方もおられるのでは。
 悪魔ロットバルトによって昼の間は白鳥の姿に変えられたオデット。この呪いを解くのは、自分を愛する男性からの永遠の愛の誓いのみ。ある時森に狩りに来ていたジークフリート王子と出遭い、恋に落ちる。彼は翌日の舞踏会で愛を誓うから来て欲しいと言う。けれども舞踏会に現れたのは、オデットそっくりに化けたロットバルトの娘オディールだった。王子はオディールの魅力に惑わされ、彼女に永遠の愛を誓ってしまう…。
 ドイツの作家ムゼウスによる童話「奪われたベール」が元になっているとかワーグナー(Wilhelm Richard Wagner;1813~1883)の「ローエングリン」からの影響がある等々言われていますが、ストーリーは作曲者のチャイコフスキーの創作だとされています。
 結末は、上演するバレエ団によって悲劇だったりハッピーエンドだったりとさまざま。



◆ 眠れる森の美女 ◆
 1890年、ロシア、サンクトペテルブルクのマリンスキー劇場で初演。音楽はチャイコフスキー。
 その誕生のときにひとりだけ呼ばれなかった妖精カラボスによって、16才の誕生日に100年の眠りにつく呪いをかけられたオーロラ姫。呪いを解くのは王子のくちづけのみ…。
 原作は言わずと知れたペロー(Charles Perrault;1628~1703)の童話「眠りの森の美女」。
 筋はほぼ同じなんですが、バレエでは、姫に呪いをかける年老いた妖精をカラボス、その呪いを和らげる歳若い妖精をリラの精と、原作には無い名を与えています。オーロラ姫と王子の結婚式では、青い鳥や赤ずきんなどなど、童話でお馴染みのキャラクターたちがお祝いにやって来ます(笑・つまり、そういう踊りが続くんです)。そして、あまり知らていない童話の後半部分、王子の母である王妃が実は人喰い魔女で姫と生まれた子供たちを食べようとするという箇所はもちろん省略。



◆ くるみ割り人形 ◆
 1892年、ロシア、サンクトペテルブルクのマリンスキー劇場にて初演。音楽はチャイコフスキー。
 クリスマス・イヴ。少女クララは大好きなドロッセルマイヤー博士からもらったくるみ割り人形をさっそく気に入る。夜、寝静まった家の中、応接間に置いたままのくるみ割り人形が気になって様子を見に行くと、なんとクララは小さくなって、ネズミたちとくるみ割り人形の戦いに遭遇、くるみ割り人形を助ける。くるみ割り人形はそのお礼に、クララをお菓子の国へ招待する。スペインのチョコレートの踊り、アラビアのコーヒーの踊り、中国のお茶の踊り、金平糖の精の踊り…。うっとり見惚れていると、全ては夢で目が覚めたら居間で寝むりこけていたクララがいた。
 原作はE・T・A・ホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann;1776~1822)の「くるみ割り人形とねずみの王様」。バレエの主人公クララは、原作では主人公マリーが持っている人形の名前。バレエでは全ては夢の中の出来事として終わりますが、原作ではマリーが、人形の国に嫁いで現実の世界には戻りません。そして、やっぱりホフマン作品、ファンタジーなんだけれどもどことなく不気味な雰囲気もあリます。



◆ 火の鳥 ◆
 1910年、ディアギレフ(Sergei Diaghilev;1872~1929)率いるバレエ・リュスによってパリ・オペラ座で初演。音楽はストラヴィンスキー(Igor Fyodorovitch Stravinsky;1882~1971)
 カスチェイという魔法使いの城にある果樹園に忍びこんだイワン王子。そこにある黄金のりんごの木のそばで火の鳥を捕まえる。火の鳥は、困ったときには助けに来るからと羽を一枚差し出し解放してもらう。しばらくすると、りんごの木に美しい姫君たちが現れる。王子はその中のひとりに心を奪われるが、それは魔法使いカスチェイのお気に入りの姫君だった。カスチェイに見つかったイワン王子は、羽を振って火の鳥を呼ぶが…。
 ロシア民話に基づく作品で、他のバレエと比べて上演時間が短いけれどもその中に上に挙げたバレエ作品のエッセンスを上手く取り入れた作品です。



 以下、上の6作品以外の原作のある有名なクラシックバレエを挙げてみます。

◆ 海賊 ◆
 1856年、フランス、パリ・オペラ座で初演。音楽はアダン、ドリーブら5人の音楽家の楽曲がごちゃごちゃ。
 海賊の首領コンラッドと、トルコの豪商に売られそうになっていた美しいギリシア娘メドーラの恋と冒険の物語。
 バイロン(George Gordon Byron;1788~1824)の叙事詩「海賊」が元になっているが、スペクタクル感溢れるバレエとは違ってこちらはもっと真面目な話。そしてバイロンの詩には、バレエではお馴染みの奴隷アリは登場しません。



◆ ドン・キホーテ ◆
 1869年、ロシア、モスクワのボリショイ劇場で初演。音楽はレオン・ミンクス(Léon Fedorovich Minkus;1826~1917)。
 ドン・キホーテ、とは言っても、ここではセルバンテス(Miguel de Cervantes Saavedra;1547~1616)の原作「ドン・キホーテ」後編第19章から第22章までの、バジリオとキテリア(バレエではバジルとキトリ)という若い恋人たちの繰り広げる恋愛騒動がメインで、ドン・キホーテは狂言回し的存在です(風車の場面はありますけどね)。



◆ ラ・バヤデール ◆
 1877年、ロシア、サンクトペテルブルクのマリンスキー劇場で初演。音楽はレオン・ミンクス。
 古代インド。神殿に仕える踊り子(バヤデール)のニキヤは、戦士ソロルと愛し合っている。ソロルは聖なる火の前で彼女ただ一人を愛することを誓うが、領主から娘のガムザッティと一緒になることを強いられる。結局ソロルはニキヤを捨ててガムザッティと結婚。ニキヤは式でお祝いの舞を踊るが、ガムザッティから渡された花篭には毒蛇が忍び込んでおり、噛まれて死んでしまう。
 その後の結末は二通りあって、その後自責の念からアヘンに溺れるようになったソロルがニキヤの幻を見て彼女の赦しを得る、というものと、もうひとつは誓いを破った神罰で、ソロルとガムザッティの結婚式で神殿が崩壊して皆が死ぬ(!)というもの。神殿を崩壊させる演出はお金がかかるので、ニキヤの赦しのラスト版ができたらしいです。ニキヤはプライドのあるクールビューティーだと思うので、初心な村娘ジゼルみたいに自分を裏切った恋人を赦すラストよりも、神殿崩壊の方がいいとか言うと、人間性を疑われますかね??
 インドのサンスクリット文学の代表的存在カーリダーサ(Kalidasa;5世紀頃)の「シャクンタラー姫」から着想を得た作品で、若い日の熊川哲也さんが黄金の仏像を踊ったことでも有名。


 こうして一覧にして眺めてみると、原作はどれもおとぎ話的な物語ばかりで、言葉のない踊りで全てを表現するバレエには、それがしっくりしているんだなぁと改めて思いました。
 原作をじっくり読むと、違った味わいができる気がします(もちろん、その逆もまたしかり)。
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