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青木繁展―よみがえる神話と芸術

2011.07.10 23:56
「青木繁展 2011」
 京都国立近代美術館の青木繁展、ぎりぎり最終日にねじ込んできました!

 近代日本美術の代表的な画家のひとりである青木繁(1882~1911)の没後100年を記念した本展は、「わだつみのいろこの宮」や「海の幸」などの代表作はもちろん素描や書簡なども多く展示されており、それがわずか28才という若さでこの世を去った青木の実像を見せてくれました。
 いろんな所に見所があり、予想以上の素晴らしい回顧展でした。っていうか、間に合ってよかった…
 …実は苦手でした、青木繁。
 というか、彼の代表作「海の幸」がわからなかったんです。
 「海の幸」は近代日本美術の代表的作品として日本史や美術の教科書に必ず掲載されている、それこそ小学生の頃から知っている作品ですが、こんなこと書くと芸術的センスゼロですと暴露しているようなもんですが(汗)何度見てもその良さがわからなかった。
 けれども実物を前にすると違う、と実感しました。
 まず、思っていたよりも小さい。もっとどーんと大きいものかと思っていたんですが、想像よりも大分小ぶりな印象です。いや、縦70.2cm横182.0cmなのだから十分大きいはずなんですが、何ですかね、裸体の男たちが10人も並んでいるある種の迫力が、この絵をひたすら巨大なものだと思わせていたのかもしれない。
 そして、全体の輪郭や色彩の曖昧さ。
 この作品を見ていると、これは実は未完成なのではないかという思いにとらわれます。人物も背景にある海も空も境界がぼやけていて、まるでこれから仕上げに掛かる前の作品のように見える。けれどもその曖昧さがこの作品を写実とは違う次元のものにしてしまっている。そこに描かれているのが単なる漁民の姿ではなく、あたかも太古の昔の人々を見ているような気分にさせられました。
 これは印刷ではわからなくて、実物を見てはっきりと実感しました。

 もうひとつの代表作「わだつみのいろこの宮」などの日本神話や、旧約聖書の物語を主題にした作品からは、よく言われるようにラファエル前派の影響が見られますが、他にもモローやアール・ヌーヴォーの作品からの影響も少なからずあったのでは、とも思います。かと思えば風景を描いた作品はコローや印象派っぽいものも。けれども不思議とどの作品も西洋絵画の真似に終わっておらず、海を描いた絵でさえも何処かしら日本的なものが滲み出ていて、そこに青木繁という画家がいる気がしました。
 彼は1911年に極貧と病気の中わずか28才という若さでこの世を去るわけですが、もしも長生きしていたなら一体どのくらい凄いものを残しただろうと思えてなりません。
 というのもこの回顧展に並んだ彼の作品を見ていると、まだまだ発展途上にあったのではなかったのか、と思ったから。西洋画の様々な画風を次々に取り込みそれを自身の作品に落し込んだその作風にはまだまだ可能性があったのではないか、と思わずにはいられません。死期を悟った頃から作風が低迷してしまうのも、見ていて切ないですね。
 青木の早過ぎる死後、同じ久留米の出身で友人であった画家の坂本繁二郎(1882~1969)が青木の遺作展の開催や画集の刊行に尽力し、画家・青木繁の名が世に知れていきました。

 今回いちばん印象に残ったのは青木の初期の作品「黄泉比良坂」。印刷には上手いこと出ていないのが残念ですが、暗く深い海の色が印象的で、何処かモローの絵に通じるものがある気がします。
 
 京都は今日が最終日でしたが、このあと東京のブリヂストン美術館で開催されます。

「没後100年 青木繁展ーよみがえる神話と芸術」日程
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ジャンル:学問・文化・芸術

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ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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