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127時間

2011.07.12 23:55
 ちょっと前になりますが、ある登山家に起きた実際の落石事故を映画化したダニー・ボイル監督の「127時間」観てきました。

Story> アメリカ・ユタ州のブルージョン・キャニオン。ロッククライミングをしていた登山家のアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は落石事故に見舞われ、右腕を断崖に挟まれたまま身動きが取れなくなってしまう。助けを呼ぶ術もなく5日間が過ぎて命も尽き果てようとした時、彼はある決断をするが…。

 疾走感溢れる予告編を見たときの印象とは違った、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際にさらされた人間の姿を映した一本でした。
 実際に起きた登山家の事故や危機を描いた映画といえば、数年前の「運命を分けたザイル」を思い出しますが、あれは雪山での遭難劇を本人のインタビューや再現ドラマで構成したドキュメンタリー作品でしたが、これは乾いた岩間に閉じ込められた人間を描き出した映画。ドキュメンタリー性はないですが、別の見応えがあります。

 楽天家の若き登山家のアーロンは、ブルージョン・キャニオンにすっかり魅せられています。彼は誰にも行き先を告げぬまま、ブルージョン・キャニオンへロッククライミングに向かうのですが、そこでまさかの落石に見舞われ右腕を挟まれてしまう。助けを呼ぼうにも、携帯はもちろん圏外で広大なキャニオンには人影などない。狭い岩間の中で身動きがとれなくなった彼は、始めは当然なんとか脱出しようと岩をナイフで削ったりと色々試すんですが、上手くいかない。どうしようもないまま時間が過ぎ、そして食料も水も底をつきはじめ、完全に命の危機に晒されます。
 岩に挟まれて以降、カメラはずっとそこから脱出しようと格闘するアーロンを映しだすんですが、彼が眠りに落ちた時や錯乱した時、彼のそれまでの人生が夢や幻となって過ぎっては消えて行く。それは極限状態に陥った人間の見ているものなので幾分大袈裟に見えますが、それが逆に彼が切り離されかけている「生」の輝きを際立たせているように見えます。人影どころが緑もない、荒涼としたキャニオンと、皆のいる街との対比は、まるで生と死を表しているかのようにも見える。そしてそんな状態に置かれた自分自身を文明社会のツールであるレコーダーに撮りだす行為が、「あちら側」から完全に切り離されまいとする足掻きのように見えました。
 過去のフラッシュバックは、徐々にアーロンという人間のこれまでの、ある意味で身勝手だった生き様を浮き彫りにしていきます。
 母からの電話を無視したこと、同僚に行き先を告げなかったこと、そして自分の生きざまを貫いたことで別れた恋人のこと。「これは罰だ」というアーロンの言葉が切ないです。
 岩間に閉じ込められる前、アーロンはブルージョン・キャニオンで迷っていた若いふたりの女の子の道案内をしています。別れ際に彼女たちから週末のパーティに来るよう誘われていましたが、そこでも曖昧な返事しかしていない。途中まで、もしかしたら彼女たちが異変に気がついてくれるかもと淡すぎる期待を持っていたりもしましたが、そんな期待は裏切られる。
 それは彼がこれまで誰にもよりかかることなくひとり飄々と生きてきたから、なんですね。平時はそれでいいかもしれないがこうした緊急事態の時、孤独はどっしりとのしかかってきます。
 その、自らが選んだ孤独の中で、5日が過ぎる。
 水も尽き、命も尽きようかというときに、彼はある決断をします。
 それは、わりと早い段階で一度は考えたものの引っ込めたこと。
 生きるか死ぬか。瀬戸際に立たされて初めて彼は生きること、もう一度皆のところへ戻ることを選ぶ。
 
 岩から脱した瞬間のアーロンの表情が印象的です。狂喜するでもなく涙するでもなく、ただぽかんと自分を閉じ込めていた岩を見詰めるだけ。そしてそこで終わりではない、なんとか助けを求めなければならないと冷静に判断していくところが、さすが登山家だと思いました。

 途中にとても痛いシーンがあるので見る人によってはちょっと無理な映画化もしれません。私も痛くて痛くて久しぶりにちょっと正視できませんでした。わりと何でも大丈夫なのにね。。ああいうのが実は一番苦手だったり。。
 けれどもそれを超えてラストに辿り着いたとき、何よりも生きることを考えられずにはいられません。
 そして、自分だったらどうするだろうかと考えられずにはいられませんでした。アーロンのような強靭な精神性のない自分は早い段階で諦めているかもしれないです。
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夜長姫

Author:夜長姫
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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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