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イリュージョニスト

2011.08.26 23:48
 ちょっと前に、ジャック・タチの幻の脚本をシルヴァン・ショメ監督がアニメーション映画化した「イリュージョニスト」観てきました。

Story> ロックやTVが世界を席捲し、時代が激変しつつある1950年代のパリ。時代遅れのマジックを披露する老手品師タチシェフは、かつての人気をすっかり失い、場末のバーでドサまわりの日々。ある日スコットランドの離島に流れ着いた彼は、やっと電気が開通したばかりの片田舎のバーで、貧しい少女アリスと出会う。手品師のことを何でも願いを叶えてくれる“魔法使い”と信じ、島を離れるタチシェフを追うアリス。そして、彼女に生き別れた娘の面影を探すタチシェフ。やがて2人は言葉が通じないながらも、エジンバラの片隅で一緒に暮らし始めるが……。

 長編デビュー作「ベルヴィル・ランデブー」(2003)でシルヴァン・ショメ監督に惚れ込んで、以来まだかまだかと待っていた新作、ようやく観ることができました!
 ノスタルジー溢れる映像美と、ジャック・タチへのオマージュに満ちた心に沁みる作品でした。
 前作の「ベルヴィル・ランデブー」がレトロな雰囲気ながらも終始奇抜なお話だったのに対し、本作は時代に忘れられた老手品師と純朴な少女との不思議な交流を淡々と描き出したヒューマンドラマ。
 パリの場末のバーで手品を披露していたタチシェフが、スコットランドの小さな町のバーに呼ばれ、そこにいた貧しく純粋な少女アリスと出会う。アリスは彼の見せる手品を本物の魔法だと思って、島を去る彼について行く。タチシェフはそんなアリスに生き別れた自分の娘の姿を重ねながら、エディンバラで共に暮らし始めます。
 華やかな都会に魅せられたアリスのいろんな「願い」を叶える「魔法使い」になるため、タチシェフは頑張ります。手品の仕事だけで苦しくなれば、慣れない他の仕事を掛け持ってまで彼女に幻想を見せるのです。そうすることで、彼は実の娘との失った時間を埋めているのかもしれません。
 
 映画はアップを極力排したカットで進み、互いに言葉の通じない主人公たちはじめキャラクターのセリフはほとんどない。まるで一枚の絵を鑑賞している気分にさせられる美しい映像の中、キャラクターのちょっとした仕草がその感情を何よりも雄弁に物語っていくのは、まるでサイレント映画を見ているような気分になる。
 そして時代に取り残されていく芸人たちの哀れな末路など、決して明るい気分にはなれないエピソードもあり、どこか全体的にもの哀しい雰囲気に満ちているのに、キャラクターの動作が何となくユーモラスでコミカルだから、何だか可笑しくなってくるのがショメ監督らしい。
 個人的には「シチュー」のエピソード、そしてうさぎが好きです(笑)。

 やがて少女「アリス」は迷い込んだ幻想の世界から、現実の世界へと戻る時がやって来ます。
 「魔法使いは存在しない」―そんな言葉と共にアリスの前から去るタチシェフもまた、少女に見た自分の幻想から現実に戻っていく。
 
 本作はジャック・タチが娘に遺した脚本をもとにしたもので、随所にタチへのオマージュが散りばめられている。タチシェフが入った映画館で「ぼくの伯父さん」が上映されていて、スクリーンに映るユロ氏と彼が見つめ合ったり、なにより主人公のタチシェフがタチその人をモデルとしていたり。そうした面も合わせて、とても楽しめる作品です。
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夜長姫

Author:夜長姫
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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

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