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川端康成の「乙女の港」

2010.10.03 00:12
完本 乙女の港 (少女の友コレクション)完本 乙女の港 (少女の友コレクション)
(2009/12/11)
川端 康成

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 伝説の少女雑誌『少女の友』で連載され、大センセーションを起こした川端康成の少女小説が完全復刻!
 昭和13年刊の中原淳一による装丁の箱入り版(旧かな版)と、『少女の友』連載時の淳一挿絵全点収録の新装版(新かな版)の二冊組。豪華です。
 横浜のミッションスクールを舞台に、新入生の三千子と、上級生の洋子、克子の三人が繰り広げる「エス」の物語。
 「エス」というのは、女学生の上級生と下級生の間に結ばれる親密な関係のこと。こう書くといわゆるレズビアンと同義のように聞こえるかもしれませんが、ちょっと違って、「エス」は女学校時代に限定された肉体関係の伴わない、少女同士の友情以上恋愛未満の緊密な関係のことらしいです。思い返せばこの私も、まだ男の子との恋愛が生々しく感じられた年の頃、女の上級生に恋ともつかぬ淡い憧れを抱いたことがあったようななかったような…。今思えば、あれが「エス」の感覚に近いものなのかもしれません。現在でも割と多くの女性が既視感あるんじゃないかと思いますが、どうでしょう?「エス」小説の現代ヴァージョンと言えなくもない「マリア様がみてる」がヒットしていたりもしますしねぇ。

 話を「乙女の港」に戻しましょう。
 入学して間もない三千子の元に、二通の手紙が届きます。
 ひとつは木蓮と名乗る五年生の洋子からで、菫の花の添えられたもうひとは四年生の克子から。同級生から「エス」の誘いなのだと教えられ、三千子はどう返事をしたものかと悩みます。
 やがて、三千子はしとやかで美しい洋子の「エス」になるのですが、勝気で負けず嫌いな克子は身を引かず、三千を巡って洋子に敵愾心を向けてきます。
 この状況に心を痛める三千子を、人気の高い二人の上級生から深い愛を一身に受けていることで周囲がやっかみもします。このあたり、女子の事情は現代と変わらないですね(苦笑)。
 その後は夏休みの軽井沢、秋の運動会とイベントを巧みに絡ませつつ二人の間で揺れ動く三千子の姿が描かれるのですが、未読の方のためにもあまり詳しくは書きません。ラストは美しいです。
 それにしても川端センセ、なんでそんなに女学生ライフに詳しいの??…と疑問に思っていたら、協力者がいたようですね。弟子の中里恒子が強く関わっていて、彼女の女学校時代が大きく反映されているようです。
 
 「乙女の港」は中原淳一の挿絵の魅力もあいまって、当時の少女たちに大センセーションを起しました。女学生同士の「エス」が急増したと言われているくらいです。
 なのにこの復刻版が出るまで絶版状態が続いていました。『少女の友』の記念本が出た時に、収録された第一回目だけを読んで、続きが読みたい、というか全部読みたい!…と、もしや文庫で出ていないかしらと探してみたものの長らくの絶版状態と知ったときは、そりゃあショックでしたねー。同じ思いの方は他にも多くいたようで、読者アンケートでは「乙女の港」復刊のリクエストが最も多かったそうです。
 それを受けての完全復刻なんですね。
 出版社さま、ありがとう!

 新装版には「乙女の港」の他、昭和9年の『少女倶楽部』に掲載された短編「薔薇の家」、鹿島茂、内田静枝の解説・解題、『少女の友』に載った「乙女の港」関連の記事なども収録されています。 

 ところで、せっかくなら当時の雰囲気を存分に味わいたいと、完全復刻の旧かな版で読もう!と目論んでいましたが…、余りにも勿体無くて箱から出して愛でること数回に留まったままです(笑)。
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夜長姫

Author:夜長姫
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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
拍手、コメントなど頂ければとても嬉しいです。
※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

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