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彼女が消えた浜辺

2011.01.18 23:17

 ベルリン映画祭最優秀監督賞を受賞したことで話題となったイランの新鋭・アスガー・ファルハディ監督の「彼女が消えた浜辺」がやっと地元で上映になったので、観てきました。
 
Story> テヘラン郊外、カスピ海沿岸の避暑地に男女数人が休日を過ごそうとやってくる。しかし浜辺の宿しか取れず、連れてきていた子供が海で遊んでいるうちに溺れてしまう。何とか救出し安堵したのも束の間、参加者のひとりエリの姿がないことに気付き愕然とする一行。彼女は溺れたのか、それとも黙って去ったのか。一行の誰ひとり、エリという名の他に、彼女のことを知る者はなかった――。

※以下、ネタバレ含みますのでご注意を。
 日本で上映されるイランをはじめ中東の映画といえば、政治的なものや反戦ものがほとんどですが、あらすじを見れば判るとおりこの作品はちょと違います。

 登場するのはテヘランの普通の中流階級の男女。テヘランから休暇を過ごすカスピ海沿岸の避暑地に向かう始まりから途中まではそんな彼らの何でもない姿が映されていて、意外と日本や欧米のそれとあんまり変わらないかもと思いながらもちょっと退屈で(笑・すみません)、寝不足気味の私はうつらうつらとしていました。
 が、事件が起こってからは一気に緊迫。眠気も吹っ飛んでスクリーンに見入りました。
 
 エリはどこへ消えたのか?
 そして、エリとは誰なのか。

 初めこそ溺れたのではと必死の捜索をするも、何らかの事件に巻き込まれたのではとか実は黙ってテヘランへ帰ったのではとか、徐々に本名さえも知らない謎だらけの女性の失踪の真相を探り始めます。けれどもこの映画はそれをミステリーというよりは人間の心理劇として描き出していく。
 登場人物のとまどいや苛立ち、不安などの感情をあぶり出していくのです。
 
 「永遠の最悪より最悪の最後の方がまし」。
 予告にも出てくるこの言葉が、真相を知るキーワード。
 実はエリには婚約者がいた。けれどもそれは親の決めた相手であり、エリ自信は好意を抱くどころが嫌っていて、可能ならば破談にしたいと願っていた。そして、このヴァカンスにエリを誘ったセピデーは、そんな彼女の名誉を守りたいと思う。
 このあたりの事情が明らかになってくると、イスラム世界に生きる女性の、価値観や置かれている立場に悩みもがいている姿が浮かび上がってきます。
 カスピ海の荒波に洗われる浜辺の光景もそこで休暇を楽しむ人達の姿も、頭用のストールを巻く女性の姿がなければ、西洋の映画でも見ているのではないかと錯覚しそうになる。けれどもところどころで顔を覗かせる因習の根深さや価値観に、ああ、これはイランの話だったのだと気付かされました。

 エリはどこへ行ったのか。
 ぜひ、ご自身の目で確認して下さい。 
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夜長姫

Author:夜長姫
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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

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