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新訳絵入現代文 伊勢物語

2011.02.25 23:21
新訳絵入現代文 伊勢物語新訳絵入現代文 伊勢物語
(2011/02)
吉井勇 竹久夢二

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 大正6年に阿蘭陀書房より刊行された、大正・昭和初期の耽美派詩人・吉井勇(1886~1960)訳による「伊勢物語」が復活。挿絵はなんと竹久夢二。
 王朝文学と大正ロマンの融合したような世界の味わえる、とっても贅沢な一冊です。
 在原業平がモデルだと云われる色男の恋愛遍歴を描いた王朝歌物語の代表格「伊勢物語」そのものについては、今更な気がするのでここで詳しく書きません(因みに、原文で読むなら岩波文庫版がおすすめです)。

 ここではこの吉井勇・竹久夢二コンビによる伊勢物語について。
 本書は大正6年に阿蘭陀書房という出版社から刊行されたものの復活本。豪華なヴァージョンなのに、今の今まで知る人ぞ知る幻の一冊だったようです。昨今の大正~昭和初期文化の静かなブームが、復活の後押しになったのでしょうか。

 吉井勇は詩人なので歌物語としての理解がいいな、と思いますし、耽美派の感性はこの王朝文学の持つ雰囲気を現代文に蘇らせるのによく合っています。けれども文章そのものは、耽美的なものではなく装飾を省いた簡潔ですっきりとしたもの。あくまで原典に忠実な、無駄のないものになっています。それを彩る夢二の挿絵は大正ロマンの雰囲気の中に王朝文化の色合いを巧みに溶け込ませていて、この作品にはこの絵でないと、と思わせる。凄いですね。
 フォントが大きな本文はもちろん現代文なわけですが、歌については原文で載っていて、歌物語でもある伊勢物語の良さや愉しみを味わえるようになっているところがいいですね。
 夢二の挿絵は本文ではモノクロですが、もともとカラーだったものについては巻頭にまとめてフルカラーで紹介されていたりと夢二ファンへの配慮も充分。たっぷり夢二の絵物語が愉しめます。
 眺めれば眺めるほど贅沢だなぁと思うのでした。
 こんな一冊が復活してくれるだなんて、本当に嬉しい。

 まだ伊勢物語を読んだことのない方や現代文で読みたいけれどどれにするか迷っている方におすすめしたいし、そして現代文でどころが原文でも読んでますよという方にも手に取ってほしい一冊です。

 ところで、先ほどもちらりと最近じわじわきている大正~昭和初期文化のブームについて触れましたが、こういう埋もれてしまった当時のいい本って、けっこうあると思うんですよね。それが、このブームに乗ってどんどん復活してくれないかな、と秘かな、いやけっこう大きな期待を抱いています。でも、豪華で高価な愛好家やマニア仕様では懐の寒い私にはツライので、ふつうに刊行されるのが理想(笑)。ここは出版社さんに頑張っていただくしかないですね!
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テーマ:ブックレビュー
ジャンル:本・雑誌

コメント

すごい!

さすがの御慧眼、このような一著がありましたか。吉井勇と伊勢物語……、雅致の極みとも言える取り合わせですね。
最近とんと書店に足を運ばないので、夜長姫さんのご紹介が無ければ完全に逸するところでした。
これは是非読みたいです。

吉井は薩摩の元勲伯爵家の当主でありながら、俗物的趣味、金満趣味にも、或いは功名心、いずれにも流されず、ただ風雅を体現したその生き方を終生貫いた事に強く惹かれます。
父君の友実氏は、幕末維新の折、遠戚が何やら遺恨有りのようなのですが、まあ、それはそれ^^;

余りにも有名な「かにかくに 祇園は恋し 寝るときも 枕の下を 水の流るる」も良いですが、松井須磨子が歌って当時異例のヒット歌謡となった「命短し恋せよ乙女」の「ゴンドラの唄」も、元は吉井の作詞なんですよ。

とにかく、何かと惹き付けられる風流人です。
彼が「伊勢物語」を手掛けていたとあらば、これは是非読まねば!!

ご紹介ありがとうございました。

>Tandoさま

コメントありがとうございます~

この「伊勢物語」は本屋さんをぶらぶら散策中に偶然発見したのでした。
実店舗でのこういう不意打ちは嬉しいですね♪

ところで、松井須磨子の「ゴンドラの唄」のこと、ああ、そうだったのか! と初めて気が付きましたi-202ありがとうございます。

幕末維新の遺恨云々は興味津々ですが、今回はあまり深入り致しません(笑)。ので、そのうちゆっくり聞かせて下さいませ。

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夜長姫

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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

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