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ヒア アフター

2011.03.08 19:05
映画「ヒア アフター」 クリント・イーストウッド監督の最新作「ヒア アフター」観てきました。

Story> 霊能力者としての才能に目を閉ざして生きているアメリカ人のジョージ(マット・デイモン)、九死に一生を得た津波での臨死体験で見た不思議な光景にとりつかれるフランス人のマリー(セシル・ドゥ・フランス)、亡くなった双子の兄との再会を願うイギリスの少年マーカス。ある日のロンドンで、それぞれに「死」を体験した3人の人生が交錯する。

 死というテーマを扱いながらも、ホラーでもなく感傷でもなくスピリチュアルでもない、何だか真面目に「生きる」ことを考えてみたくなる、リアリストであるというイーストウッド監督ならではの絶妙なバランスのとれた作品。
 サンフランシスコ、パリ、ロンドン。このばらばらの地点でそれぞれに体験した「死」に藻掻く3人が、一体どうやって接点を結んでゆくのだろうかと、画面を追いました。

 サンフランシスコで工場労働者として働いているジョージは、実は死んだ人間と交信の出来る本物の霊能力者だが、他人に触れるたびその人の背負っているものまで知ることに嫌気がさして、その能力を使うことをやめていた。パリでニュースキャスターをしているマリーは、南の島で取材旅行中に津波に呑まれ、九死に一生を得るが、その時の臨死体験で死後の光景らしいものを見、以後それに取りつかれていく。ロンドンの少年マーカスは、双子の兄を事故で亡くしてしまい、半身を失った感覚のまま死んだ兄との交信を願い、自称霊能力者たちを巡ったりしている。

 彼らを結びつけたのはそれぞれが体験した「死」。
 よくあるホラーティストやスピリチュアルものにならないのは、それぞれが体験した「死」が、あまりにも重く、そしてそれにどう対応したものかと模索する姿が真摯なものからだろう。死後の世界という一見魅惑的なものを全面に出したりすることなく、あくまでそれはこの3人を結びつける事象でしかない。
 だからといって、べたべたな感傷ものにもならない彼らを一歩下がって眺めているような距離が、この作品にはありました。畢竟、どんなに重く苦しい経験も、当の本人ひとりのものでしかない。突き放した言い方をするなら、当人にしか分かり得ないんです。絶妙に保たれた距離は、彼らの体験を見るものに簡単には同化させない。それは、主役3人のみならず、彼らを取り巻く人びとへの眼差しも同じ。このあたり、リアリストであるイーストウッド監督らしいなと思いました。とてもバランス感覚に優れている。
 
 3人とも、その特殊な経験ゆえに周囲から理解されない存在になっていき、徐々に自分の殻に閉じこもるようになってしまう。けれどもロンドンでの偶然の邂逅が彼らを結びつけ、そして前へと踏み出させていく。
 きっかけとなったのは本、そしてディケンズですかね。
 もつれた糸が徐々に解けていくようなラストは、じんわり心に沁みました。
 死んだものはもう蘇らない。残されたものに出来るのは、ただ生きること。
 観終わってみれば、人生を、人と関わりあっていくことを考えさせられる、良質なヒューマンストーリーでした。
 

 冒頭の津波のシーンは凄まじい。この津波や地下鉄の爆破テロは、実際の出来事を踏まえているんでしょうが、明確に「それ」と言及していないのは、色々配慮のあってのことでしょう。

 そしてもうひとつ、マーカスが訪ねて回る霊能力者(ニセモノ)たちの胡散臭さったらない。本物の能力者であるジョージとなんと違うことか。マーカスの冷静な反応がそのエセっぷりに更に輪をかけていて、笑えました。
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夜長姫

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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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