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ハワード・パイル「ロビン・フッドの愉快な冒険」

2011.03.10 19:29
ロビン・フッドのゆかいな冒険〈1〉 (岩波少年文庫)ロビン・フッドのゆかいな冒険〈1〉 (岩波少年文庫)
(2002/10/18)
ハワード パイル

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 弓の名手である若者ロビン・フッドは、ノッティンガムでの大会に出場するため急いでいるところを森役人といさかいを起こし遂には射殺してしまう。おたずね者となった彼は、以来シャーウッドの森に住むアウトローとなる。そこで出会った仲間達とともに強欲な者どもを懲らしめ弱きを助けながら繰り広げられる愉快な冒険譚。
 
 中世の昔からイギリスに伝わるロビン・フッド伝説を、自身の見事な挿絵と共に子供向けの読み物としてまとめあげたハワード・パイル(Howard Pyle;1853~1911)の「ロビン・フッド」。
 少年文庫版ですが、大人も十分楽しめる作品です。
 岩波文庫版ハワード・パイルの「ロビン・フッド」は全2巻ものなんですが、1巻はあるのに2巻が本屋さんではとんと見かけずネット書店でも在庫切れ状態で入手できずにいて、2巻読まないと結末がわからん!!…と仕方が無いから中古で探そうかと思っていた矢先、最近駅の近くにオープンした大型書店で並んでいるのを発見! 小踊りしてレジに持っていったのでした
 ネット書店は全滅でしたが、大きめの実店舗ではまだあったりするんでしょうかね?
 というわけでラストまで読めたので感想書きます♪

 中世以来イギリスに伝わるロビン・フッド伝説を、19世紀の作家であり挿絵画家であったハワード・パイルが子供向けの読み物として再構成したのが本書。
 リトル・ジョン(本文では小人のジョーン)、ウィル・スカーレット(ウィル・スタトレイ)、アラン・ア・ディール、タック和尚といったお馴染みのキャラクターももちろん登場。
 けれどもロビン伝説のヒロインたるメイド・マリアンは出てきません。
 上野美子氏の「ロビン・フッド物語」によれば、もともとマリアンというキャラクターはロマンスが重視される演劇が大流行したルネッサンス期になって登場するそうで、当時の流行がロビン・フッドの世界にも取り入れられた結果らしい。中世から伝わるもともとのロビン・フッド伝説にはそういう要素はなくて、だからこの勇壮で武骨なパイルのものは本来の伝説に近いといえるかも。
 特に2巻の終わりあたりは息も吐かせぬ展開で、英雄物語としてのロビン・フッドが楽しめます。
 
 というわけででロマンスの要素は一切ありません。
 それどころか出てくる女たちは、ロビンを幸せにするどころが悉く不幸にする(笑)。
 といって、登場する主な女性はエレノア皇后と尼院長の二人くらいなんですが、前者は悪意は全く無かったにせよロビン一味が国王の怒りを買って窮地に追い込まれるきっかけを作るし、後者に至っては助けるはずのロビンを死に追いやてしまう。
 この結末にふと、もうひとつのイギリスの伝説アーサー王の話を思い出しました。彼もロビンと同じく、女たちによって死んでいるんですよね。ここから影響を受けたのか、それとも互いに影響し合っていたのかはよく判りませんが、興味深いです。

 あと思ったのは、いわゆる御猟林法が如何に中世イギリスの人びとを苦しめていたかということ。
 ロビンたちが活躍するシャーウッドの森は国王の猟場である「王の森」で、ここでの動物の狩りは禁じられていた。やっかいなのはこれが森林地帯に留まらず荒地や耕地など農民の暮らす土地をも含んでいたことで、農作物に被害を与える動物の駆除はもちろん豚などを放牧することも禁じられ、これを犯したなら酷い時には死刑になるという恐ろしい法に人びとを長いこと苦しめていたのです。だから森に自在に住みながら、人びとを助け代官や高位聖職者のような悪の代表格を懲らしめてくれるロビン・フッドという義賊の存在が長く愛されたんでしょう。

 パイル版「ロビン・フッド」は他の少年文庫でも何点か出ていますが、彼自身が描いた植物の装飾に飾られたアール・ヌーヴォーの雰囲気たっぷりの挿絵が味わえる岩波少年文庫版が断然おすすめ。
 パイルは挿絵画家としても有名で、その後のアメリカのイラストレーション黄金期の画家たちを育てた人でもあるのだとか。これを堪能しない手はないですよ!

ロビン・フッドのゆかいな冒険〈2〉 (岩波少年文庫)ロビン・フッドのゆかいな冒険〈2〉 (岩波少年文庫)
(2002/10/18)
ハワード パイル

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夜長姫

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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

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