スポンサーサイト

--.--.-- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

デザート・フラワー

2011.03.29 22:42
映画「デザート・フラワー」 ソマリア出身の世界的トップモデル、ワリス・ディリーの波乱に満ちた半生を映画化した話題作「デザート・フラワー」の上映が、やっと地元で始まったので観てきました。

Story> ソマリアの遊牧民として生まれ育ったワリス・ディリー(リヤ・ケベデ)は、13歳で結婚させられそうになったことを機に家族のもとを離れる。砂漠からロンドンへたどり着き、路上生活を送っていた彼女は、一流ファッションカメラマンに見いだされファッションモデルに転身、やがて世界的なトップモデルとして成功を収める。しかし彼女は幼いころに受けたFGM(女性性器切除)に苦しめられていた……。

 ひとりの女性の単なるサクセスストーリーではない、深い問題提起を突きつけている作品。構成が弱いのが少し残念ですが、見応えはありました。
 ソマリアの大地で遊牧をしていた少女から一転、成長したワリスが覚束無い足取りでロンドンの街に踏み出すシーンから、物語が動き出します。
 ワリスはその日偶然トップショップで働きながらプロのバレエ・ダンサーを目指すマリリン(サリー・ホーキンス)に出会い、何とか部屋をシェアしてもらう。更にはマリリンからファストフード店での仕事を紹介され、そこで人気フォトグラファー、ドナルドソン(ティモシー・スポール)見出され、ワリスはトップモデルへの道を切り開いていきます。
 最初は仕方無しに、という感じだったマリリンですが、素直で気の利くワリスに友情を抱くようになり、やがてふたりは打ち解けていく。そして徐々に、ワリスがロンドンに来て何年も経つというのに生活様式にまるで慣れていない上に英語もろくに喋れないのは何故なのか、更には彼女が抱える大きな問題に気がつく。
 そこには唖然とする他はないアフリカの、女性差別の実態がありました。
 彼女は13歳の時に、自分の親ほども年の違う男の四番目の妻にさせられかけ、それを拒否して命がけで逃れる。そしてイギリスに渡りソマリア大使館に預けられるが、外に出ることも自由にならない環境で、下働きとして使われて6年が過ぎる。やがてソマリアで内戦が起き、大使館の人間が帰国していく中、決死の覚悟で脱出してきた祖国にワリスは戻らず、結果不法滞在者となってしまった。
 マリリンと出会ったとき、ワリスは路上で生活していたのだ。
 更にもうひとつ、彼女は3歳の時、祖国の因襲であるFGM―女性性器切除を受けていた。
 FGMの行われている文化圏は、これを受けていない女性は娼婦同然の扱いを受けるのだという。
 女性性器切除のために倒れ運び込まれた病院で、手術を勧める白人医師の隣でソマリア出身の男性医師はワリスに向かって、彼女にしか分からない母国の言葉で、手術を受けるのなら「お前は祖国の恥さらしだ」と脅す。
 けれども彼女の姉妹のうちの、あるひとりは施術時の出血が原因で、もうひとりはFGMの為に出産時に命を落としてる。
 FGMの行われている文化圏では建前として、女性の貞操や純潔を守るための伝統なのだと言いますが、しかし受ける女性の側からすればその生命すらも脅かす恐ろしい蛮行でしかない。

 彼女が3歳の時に受けた劣悪な環境下での女性性器切除の場面も、しっかりと容赦なく描かれています。
 見ていて、辛い。
 かつてワリスが受けたこと、そして未だ多くの女性がうけていることのおぞましさを思うと辛い。
 まともな人間なら女も男も関係なく、これは酷いと思うはずだと信じたい。

 ワリスはとても美しく、控え目で優しいひと。けれどもそれだけではなく、その内にしっかりと強くしなやかな芯を持っている。それが彼女に幾つもの試練を乗り越えさせ、遂には国連でFGM廃絶を訴えるまでの存在にしていく。
 タイトルの「Desert Flower」=砂漠の花とは、ワリスの母国語での意味。
 乾いた砂漠に咲く一輪の花は、たとえどんな困難な現実も乗り越えていける、そんな希望にも見えて、見事なほど彼女にぴったりな名だと思いました。

 ただ、酷い事実を突きつけて重い問題提起をしている作品なだけに、構成のバランスが少し悪いのがちょっと残念。華やかなハイ・ファッションの世界でのサクセスストーリーと、重いFGMの問題とが上手く噛み合っていない気がするし、必要のない気のするエピソードがところどころにあって、それが全体の流れの統一性や滑らかさをなくしている。もう少し練られていたら類を見ない名作になっていたかもしれないのに、惜しいと思いました。

 世界では未だに一日6000人の女性が女性性器切除されているという。
 この事実は同じ女性として哀しいし、なによりも耐え難い憤りを覚える。伝統や文化などではない、この明らかな蛮行が廃絶する日を、ひとりの人間として心から願います。
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:映画レビュー
ジャンル:映画

コメント

非公開コメント

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
About me

夜長姫

Author:夜長姫
お立ち寄りいただきありがとうございます。
本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
拍手、コメントなど頂ければとても嬉しいです。
※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

Category

CategoricTag

Comment

Recent entries

Search

Link

RSS

Archive

Mail Form

質問等ございましたらこちらからどうぞ

名前
メール
件名
本文

Counter

フリーエリア

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。