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はんなり

2011.03.30 23:33
映画「はんなり」 見逃したままだった京都の花街を描いたドキュメンタリー映画「はんなり」が再上演されていたので、観てきました。

Story> 上七軒、祇園甲部、祇園東、先斗町、宮川町、そして島原。外からばなかなか窺い知れない京都の花街の伝統とそこに生きる人々の姿を追った、ハリウッド在住の日本人監督・曽原三友紀の手によるドキュメンタリー映画。

 都をどりなどの華やかな舞台はもちろん、貴重なインタビューなど花街の素顔を見ることができます。
 私は現在京都住まいで、一応伝統産業に携わっている端くれなのですが、なのに花街にはまるで縁がなく、この映画で流れる映像が全然身近なところのことでなはい、まるでどこか別の世界のことのように見えました。出てくる京都の街も、生活し見ているいつもの京都というよりは、外から見たイメージの京都だったから余計にそう感じたのかもしれません。
 そしてこうした花街という、ある意味閉ざされた箱庭のような世界がすぐ近くにあるのだと思うと、やっぱり不思議な感じがしてきます。
 思いがけず中々窺い知れないこの世界を知るいいきっかけになりました。

 花街の文化というのは「生きた文化」であるので、活字で知るよりは映像で見た方がよりよく理解できる気がします。
 演劇性の高い上七軒の「北野をどり」は歌舞伎の流れを、ゆったりとした動きの祇園の「都をどり」は能の流れをそれぞれに汲んでいるとか、単なる勉強不足でしょうが、初めて知ったことも多くありました。
 芸妓さんや舞妓さんの舞う踊りはほとんどが男性の振付師の振り付けで、先斗町のある振付師の方が、自分の作った芸に踊り手である女性はギャップを覚えて「そんなあほな」と呆れると語るシーンがあります。つまりそこにはどうしても男性の側からのこうであって欲しい理想の女性像が作られて、それは違うと突っ込まれる、と。振り付ける側だけでなく見に来るお客も男性が圧倒的であるという文化、それも仕方ないと思いつつ、女性が作った振付が出てきたら面白いかもしれない、と思いました。
 こんな話は、当事者からでないと聞くことができない貴重なものですね。
 
 そして何より、島原の太夫さん。実はこの映画に島原太夫が出ていると耳にして、遊郭マニアの気がある私はそれがいちばん見たかったのでした。如月太夫の内八文字を踏む姿とお客との顔見せの儀式「かしの式」の場面があって、短かったんですが他の花街にはない迫力に圧倒されました。京都では、島原太夫は花魁のような「遊女」ではなく、舞妓・芸妓の更に上、かつては従二位を与えられていたという芸事の最上位に立つ存在という認識のようですね。とても神聖化されている気がします。
 
 いわゆる「一見さんお断り」の伝統を今も貫いている花街の未来は、決して明るいとは言い難い。たとえば西陣織の隆盛とともに繁栄してきた上七軒は、近年の西陣の衰退とともにどんどん衰退してしまっている。古風な伝統そのままをまもり伝えるのは、難しいことだろう。
 「一見さんお断り」はなにもいけずをしているのではなく、そこに集うお客さんと築きあげてきた信頼を守るための策なのだ。けれども今のままでは衰え花街文化そのものが失われてしまうと危惧し、これからの花街のあり方を模索している姿が印象深い。
 新しいシステムで一見のお客さんの受け入れを試みるお茶屋さんや観光客を舞妓さんに変身させるスタジオを営業する元芸妓さん、ジャズ歌手としての活動を行っている芸妓さん。彼女らが徐々に花街文化を今に近づけていくかもしれない。
 そういえば、京都には節分に「お化け」といって扮装して魔を避ける風習があるんですが、今年の節分の折、地元のテレビ番組で、上七軒のある置屋さんでの舞妓さんがAKB48に扮装、なんと歌って踊ったなんてやってましたけど、これなんかは年に一度の面白い企画ですね。

 けれども一般に向けて門戸を開くことや安易な観光化は、花街のためになることでは必ずしもない。
 少し前に某朝ドラがもとで舞妓ブームが起きたとき、観光客が所々で街を歩く舞妓さんを不躾に取り囲んだり触ったりの迷惑行為が多発しているというニュースを見たことがありましたが、そういう伝統を土足で踏み躙るような行為が起こっては本末転倒。
 そしてフラット化を進めてしまえば、長年花街が守ってきた文化が持つ本来の姿が失われかねない。
 難しいところですね。

 見終わっていちばん考えたのは、これからの花街のあり方でした。

 ※4月6日追記
 この映画とは直接関係ないんですが、今日会社で嵐山から来ているおっちゃんから、十三参り(嵐山の法輪寺に数え年13歳に成長した男女が成人の儀礼として参拝する行事)に舞妓や花魁(!)の姿で参拝している子がけっこういる、という話を聞いて、ちょっと複雑な心境になりました。
 学生さんが卒業式に大正ロマン風の袴姿になるのを見ていても思うんですが、もはや「きもの文化」が過去の遺産になっている若い世代の、少なくとも一定数はこれをコスプレ的に楽しむかたちで受け入れているんじゃないだろうか。この十三参りのエピソードも、その文脈で見るなら今時らしいものなのかもしれません。
 とはいえ何だか寂しいし、いくらなんでも花魁はないだろ花魁は、…と、呆れてしまいました。
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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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