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坂崎重盛 「「絵のある」岩波文庫への招待」

2011.04.09 23:57
「絵のある」岩波文庫への招待「絵のある」岩波文庫への招待
(2011/02/09)
坂崎重盛

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 岩波文庫の中の、挿し絵や図版のあるものを紹介した一冊。
 岩波文庫について書かれた本だが岩波書店からではなく芸術新聞社から出ているので、宣伝本じゃありません。純粋に著者の「絵のある」岩波文庫への愛情のこもった本。
 そして、お固いイメージを抱きがちな岩波文庫への印象をがらりと変えてくれる本です。
 この本を読みながら思い出したのは、文庫本を手に取るようになった十代の頃でした。
 その頃お世話になっていたのは、専ら夏休みの企画に熱心な新潮社文庫や集英社文庫あたりで、岩波文庫はちょっと敷居が高い存在でした。ところが手に取ってみてそのイメージががらりと変わりました。ここでしか読めない古今東西の名作・名著の豊富さに圧倒されたのはもちろんですが、挿し絵や図版入りのものが多いことにびっくりしたんです。
 しかも、その内容の豪華さときたら半端じゃない。
 「サロメ」のビアズリーとか「カンタベリー物語」のバーン=ジョーンズとか「ダフニスとクロエ」のシャガールとか「ウィーン世紀末文学選」のクリムトやモーザーとか「新美南吉童話集」の棟方志功とか、ありえないですよ。
 もうこれは手のひらサイズの芸術です。
 気が付いたら岩波文庫にどっぷりになっていました。

 絵のある文庫なら、他にもちくま文庫とか講談社学術文庫とか中公文庫とか平凡社ライブラリーなどなどありますけれど、これほど豪華で充実しているのは岩波文庫をおいて他にない。
 そこに惚れている岩波文庫ファンはきっと多いはず。そして、読んでないくせ絵を眺めてばかりの、というかそっちが目的の人も多いのでは(笑)。私はそうです(苦笑)。

 著者もまえがきで触れていますが、他のどれでもない、日本のみならず世界中の古典や名著を集めたインテリ御用達なイメージの強い岩波文庫が、実は挿し絵や図版のものすごく充実している文庫である、というのはとても意外なことです。
 けれどもよくよく見てみると、岩波書店は知識人のための名著や学識書のみならず、実は児童文学の分野でも優れた出版物を出しており、時にそれらは作品とは分かち難い挿絵入りなのだ。しかも、刊行当時の歴史的価値の高いものやカラー版など、ただの挿し絵ではない豪華なものが多い。
 此の流れの上に岩波文庫があるとするのなら、貴重で豪華な挿し絵や図版が溢れているのも頷ける。
 
 因みに、1927年に創刊された岩波文庫は、日本初の文庫本でもある。モデルはドイツのレクラム文庫ですが、手のひらサイズの本の中に文字のみならず絵も収められているのを見ていると、江戸時代後期から流行した芥子本、袖珍本などの「豆本」からの影響もあったのでは、とも思います。海外のこうした「豆本」がどうなのかはほとんど知らないので憶測に過ぎませんが(スミマセン)、岩波文庫を見ていたら、とても日本的に思えてくるのです。

 そんな岩波文庫の魅力を余すところなく伝えてくれる一冊、かつての私のように「岩波文庫は敷居が高い」と思っている人にはぜひ入門書にどうぞ。イメージ変わりますよ。
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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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※たいして頭の良くない人間が無い知恵絞って書いております。無断転用等はご容赦くださいね。

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