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SOMEWHERE

2011.05.01 20:43

 ソフィア・コッポラの最新作「SOMEWHERE」観てきました。

Story> ロサンゼルスのホテルで自堕落的な暮らしを送るハリウッド・スターのジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)。そんな彼が、別れた妻のもとで暮らしていた11歳の娘クレオ(エル・ファニング)をしばらく預かることになる。騒々しくも倦んだ日常から一転、クレオとの楽しく穏やかな日々が過ぎていく。そして、再び離れ離れになる日が訪れるが……。

 「マリー・アントワネット」から5年、ソフィア・コッポラの新作は、家族との絆や孤独の中で人間が自分を取り戻していく過程を描いた作品でした。静かなんだけど、心の中に小さなさざ波が立ってくるような、そんな映画です。
 主人公のジョニーは倦んでいます。
 それこそ、二人組の美人ストリッパーのポールダンスを披露しても寝てしまうくらいに。
 ハリウッドスターとして成功し、ホテル暮らしでフェラーリを乗り回すような富も名声も女も手にしているにもかかわららず、この自堕落っぷりはどうなんだと思ってしまうほど。
 そこに登場する、ジョニーの娘クレオ。
 ジョニーの別れた妻のもとで育っているんですが、妻の事情でジョニーは暫く彼女を預かることになる。
 11才のクレオは、親の事情でけっこうヘビーな環境にあるにもかかわらず、ぜんぜんすれていなくて純粋な少女そのもの。
 この、クレオ役のエル・ファニングが素晴らしいです。彼女が現れると、スクリーンの中の、ジョニーの凝った時間の中に爽やかな風が吹いていくような印象を受ける。
 特に彼女がアイススケートをやっている場面の白い氷上を滑る姿は彼女の透明な雰囲気をよく表していて、上手いスケートシーンでもないのに陳腐な言い方ですが、妖精みたい。
 彼女と過ごすうち、自堕落に身を任せていたジョニーの中で何かか変わっていく。
 映画の冒頭、延々と続くフェラーリのローリングの場面が、ラストのフェラーリを乗り捨てて行く場面につながる演出がこの映画を全て物語っていると思います。何の不足もないけれども乾いた日常をぐるぐる回っているだけだった人生を、全てリセットして新たな道を歩き始める、そういう映画です。

 それが、特に大きな事件が起こるわけでもない淡々とした調子で描かれているので、退屈と思う人には退屈でしょう。けれどもコッポラの狙いは、これを観るものに面白く見せるのではなくてその逆、観客席に座るこちら側を、倦んでいる主人公と同じ視線にもっていくことにあるのだと思います。気が付いたらこちらまで、ジョニーが身を置いている退屈で退廃した時間の中に巻き込まれてしまうというか。カメラワークや場面のカットが巧みです。
 そういう作品を撮らせたら、この人は上手いですね。だってこれ、撮りようによってはベッタベタな作品になりそうじゃないですか。そうならないのがソフィア・コッポラのセンスというか、流石ですよ。

 あと、この作品は少なからす巨匠を父に持つコッポラ自身の実体験も反映されているのでは、とも思いました。これは映画スターの話ですけれども、ハリウッドのセレブリティたちって、大なり小なりこういう感じなのかもしれませんね。身内や周囲にセレブがいるわけでもないので実際のところはナゾですが(笑)。
 クレオは父からも母からもたらい回し状態で寂しいだろうに、愚痴や文句のひとつも言わない。拗ねることも反抗することもなく、ただ毎日を笑顔で過ごしている。
 けれども最後、父ジョニーと別れるときに至って初めて子どもらしい不安を涙と共に口にする。
 ああ、やっぱり我慢していたんだなぁと。なんだかとても胸を締め付けられました。 

 ソフィア・コッポラらしく映像も音楽も快いんですけど、見ているうちに何だか心に波紋が広がっていくのを覚えてしまう、そんな作品でした。
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夜長姫

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本や映画や音楽の感想を新旧問わずマイペースに書いています。
ジャンルは何でもござれですが、微妙な偏りがあるみたいでそれに流されがち。好みの合う方がいらっしゃれば大歓迎です。
本、というか文芸は物語のしっかりしたものよりは、迷宮に迷わせてくれるような作品が好み。映画は劇場鑑賞派です。
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