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ブラック・スワン

2011.05.15 21:04
 ナタリー・ポートマンのアカデミー賞主演女優賞受賞で話題の「ブラック・スワン」さっそく観てきました!

Story>ニューヨークのバレエ団に所属するバレリーナ、ニナ(ナタリー・ポートマン)は、元バレリーナの母親の溺愛のもとバレエに人生の全てを捧げている。バレエ団の芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)は看板バレリーナ、ベス(ウィノナ・ライダー)を降板させ、新シーズンの「白鳥の湖」の主役にニナを抜擢。けれども優等生タイプのニナには可憐で純真な白鳥は踊ることができても、狡猾で官能的な黒鳥を踊ることができない。また、ニナと真逆の奔放な魅力を持つダンサー、リリー(ミラ・クニス)の出現がニナを不安にさせていく。そしてプレッシャーの中で役作りに没頭していくうち追い詰められ、現実と狂気の境界が曖昧になり…。

 ダーレン・アロノフスキー監督とナタリー・ポートマンが組んだ心理スリラー。
 時間が上手く合ったので、天気が大荒れなのも厭わず上映初日に観てきました。そのくらい期待作で、でも期待すればするほどハズレるのが常なのでどうなんだろうと思ってましたが、これは期待通りの面白さでした!
 何よりナタリー・ポートマンが素晴らしい。彼女は、実力も野心もあるけれど必要以上に臆病なバレリーナを見事に演じています。
 ナタリー・ポートマンが演じるニナは、技術的には完璧だけれども臆病で表現に限界のあるダンサー。バレエ団の看板バレリーナが降板したことで新シーズンの「白鳥の湖」の主役を踊るチャンスが訪れる。けれども自らの殻を破ることが出来ず、完璧ばかりを求めるニナは、プレッシャーと不安の中で徐々にバランスを崩していく。

 結末から言えば、ひとりのバレリーナの悲劇。それが、「白鳥の湖」というバレエの筋とオーバーラップさせながら、巧みに展開しています。
 映画の重要なメタファーともなっている「白鳥の湖」のお話は、ざっと以下の通り。
 純真な娘オデットは、悪魔ロットバルトによって昼は白鳥の姿に夜の間は元の姿になる呪いをかけられてしまう。この呪いを解くのは、自分を愛してくれる男性からの永遠の愛の誓いだけ。ある時森に狩りに来ていたジークフリート王子と出会い、恋に落ちる。オデットにかけられた呪いを知った王子は、オデットに愛を誓うため明日王宮で行われる花嫁を決めるための舞踏会に来るように言う。けれども王子は舞踏会に姿を現したオデットそっくりな娘オディールに惑わされ、彼女をオデットだと思い永遠の愛を誓ってしまう。全てはロットバルトの策略だった。呪いは解けず、オデットは泉に身を投げる。
 (厳密な原作の存在しないこのバレエは上演されるバレエ団によって様々なバージョンがあり、主役のふたりが悪魔を倒して終わるなどラストが違うこともあります)

 バレエの代名詞といっていいほど有名な「白鳥の湖」ですが、その最大の特徴であり見所は、白鳥オデット/黒鳥オディールというタイプのまったく違う役を、一人のダンサーが踊り分けるところにあります。これは、他のバレエにはない特徴。そしてこの映画はそれを最大限使っている。
 そしてバレエを題材にした映画は数あれど、「白鳥の湖」を取り上げたものが案外なかったことに、今更気が付きます。この映画は名作バレエの持つ「二面性」というテーマを見事に描ききっていると思いました。

 ニナは、オデットは完璧に踊れてもオディールを踊ることができない。狡猾で官能的なオディールを踊るには、自分の殻を破って自由に、もっと奔放になることが必要で、芸術監督のトーマスはそれをニナに求めるが、生真面目な完璧主義者のニナにはそれができないのだ。
 焦り始めるニナの前に現れたリリーは、ニナとは逆の奔放な、まさにオディール・タイプの踊り手。それは踊りのみならずリリーその人もそうで、彼女は親切心でニナに近付くと見せかけ、自身の野心を覗かせる。それがニナを、彼女に役を奪われるのではないかという不安に陥れていく。
 ニナは臆病だけれども、主役を射止めようと行動に出るような野心がある。だから決してびくびくと臆病なだけではない、かなり過激な部分も持ち合わせているようなのだけれども、普段は抑制されている。それはどうやら過剰なほど過保護な母の存在が関係しているんじゃないかと思う。
 元バレリーナでどうやらニナを産んだためにバレエの道を諦めたらしいこの母親は、娘のニナのバレエ人生に全てを賭けているフシがある。けれども娘が危機に晒されると、ニナの意思など無視して娘を安全地帯に引っ張り込もうとする。そこにはこの娘のために自分の人生は挫折したのだと考えている母親の、ダンサーとして成功しようとしている娘への嫉妬が垣間見えてくる。そんな母の存在が、ニナを自立したひとりの女性として成長するのを妨げているのだ。
 この母親から、ニナは逃げようとする。
 こうした中、ニナは徐々に追い詰められていき、徐々に幻覚を見るようになるほど精神的に錯乱してしまう。映画はニナの視点で進行するので、途中から何処から何処までが現実なのか分からなくなるほど。見分ける手掛りは、よく見ればある。彼女はそんなことは言わないとかクスリ使ってもないのにそのテンションはおかしとか。それでも見ている側は、完全に彼女の狂気を体験している気分になる。
 けれども「追い詰められていく」のは臆病なニナの疑心暗鬼のせいで、他者の企みや妬みすらもニナ自身の妄想なのかもしれない。
 その過程で、ニナの中に「黒い」部分が現れ始める。そしてそれは、初演の夜に思わぬかたちで像を結ぶ。
 結局、ニナを縛め、雁字搦めにしていたのはニナ自身だったのだ…。

 R15指定なだけに性的なシーンや視覚的に痛いシーンが多いです。が、これらがなければこの映画は味の薄いものにしかならなかったと思います。これはただの「きれいな」バレエ映画ではない。ニナの狂気や錯乱を見ている側に体感させてじわじわと恐怖感を覚えさせていく、そういう映画なので、ああいう場面は必要だと思いました。

 13才までバレエをやっていたというナタリー・ポートマンは、バレリーナを演じるために一年間トレーニングを続けた上で役に挑んたらしい。その甲斐あってが、彼女の身体からは脂肪がこそげ落ちていた。バレエのシーンは、多分代役で他の人が踊っている部分もあるとは思うけれども、なかなか体当たりな感じがしました。成人女性がトゥ(つま先)で立つのは、やっぱりかなり負担だと思います。
 ただ、踊っているシーンをカメラがバストから上しか追わないのには、ちょっと不満。役者さんの表情を見せるのが狙いなのは分かるんですが、やっぱりダンスは身体表現である以上、身体の動きがモノを言うと思うんですよ。バストから上しか撮さないならないで、せめて腕や指先の表現くらいは一緒に収めて欲しかったです。息遣いや小さな表情の動きも見逃さないようなところは、官能的ではありました。

 あと、ウィノナ・ライダー。エンドロールで名前見るまで気がつかなかった(笑)。これがいちばんびっくりだったかもしれない(笑)。
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