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「大英博物館 古代ギリシャ」展

2011.05.29 23:33
古代ギリシャ展
 ざざ降りの雨の中、神戸市博物館で開催中の「大英博物館 古代ギリシャ展」を見てきました。

 副題が「究極の身体、完全なる美」とあるように、古代ギリシャにおける身体、あるいは裸体表現をテーマに、大目玉になっているミュロンの「円盤投げ」やプラクシテレスの「アフロディテ像」(共にローマ期のコピー)、ヘレニズム期の「サテュロスから逃れようとするニンフの像」そして紀元前3000年紀にまで遡る「後期スペドス型女性像」などなど古代ギリシャ・ローマの秀作の並ぶ、見所の多い展覧会でした。
 人々のありのままの姿に焦点を当てたり、隠されがちな同性愛文化をちゃんと取り上げていたり、「性と欲望」というタイトルそのままのセッションがあったりと、画期的な部分も多数。
 古代ギリシャ、あるいは古代ローマ期の展覧会は数あれど、文化や宗教、精神面などをテーマにしたものはあっても今回のような人間の身体性を取り上げた企画は珍しいですね。実は、古代ギリシャの展覧会ということ以外にこれといった情報も拾わないまま見に行ったので(そんくらい好きなんです;)、かなり意外でした。
 展覧会は、「神々、英雄、別世界の者たち」「人のかたち」「オリンピアとアスリート」「人々の暮らし」の4つの章に分かれて展開します。つまり、「人間」のかたちをした存在の中でいちばん高位にある神々から始まって、最後は市井で生活する民の姿で終わる、という流れなんですね。
 その中で、男性ならクーロス像、女性ならコレー像というように型にはまった表現や様式化したものから徐々に人間個々人の個性を表していくようになる過程が見られて、面白い。よちよち歩きの男児とか、太鼓腹の剣闘士、老いたヘラクレス、乳児を抱いた老乳母、醜いほど肥満した女性などなど、こんなものがあるのか、と驚きます。
  
 ところで今回いちばん目を引いたのは、「人々の暮らし」内の「性と欲望」というセクション。「ポルノグラフィー」なんて単語をこういう企画展で見たのは初めてかもしれない(笑)。
 古代ギリシャ美術において隠し立てのない性表現はありふれたものですが、それをわざわざこういう大掛かりな展覧会で全面に出すことは、今までなかったような気がします。古代ギリシャの裸体表現そのものは欲望をかきたてるためにあったわけではなく、肉体の美しさへの賛美であったりするわけですが、中には娼婦の姿や同性愛、あるいは性交そのものを表した、ポルノグラフィーとしか言えないものもこの時期の、特にアンフォラなどの陶器の絵には多くあります。
 今回、そこまで露骨なものはさずがに来ていませんでしたが(子供も見てますしね…)、それでも、これよく展示したな、と感心したものもちらほら。
 傑作なのは、赤像式ペリケ(水差し)に描かれた絵。庭にアスパラみたいに男性器が生えていて(!)、それに女性が水をやっているという絵で、見た瞬間吹きました(笑)。すぐ後ろにいたおばちゃんたちの「生えてるで」というコメントが、さらに可笑しかったです。
 あと、古代ギリシャ・ローマ期に同性愛は普通のことだったとか、プラトン読んだら気がつくことですがほんとに興味のある人しか知らないことを出していたりと、今までにはない、「ありのままの」古代ギリシャを見せようという意気込みを感じました。

 因みに。
 今回目玉のミュロンの「円盤投げ」ですが、これのオリジナルは現存しません。
 現在ローマ時代のコピーが数点残っていて、この展覧会で見られるのは後2世紀のコピーでローマの五賢帝ハドリアヌス帝(在位117~138)のティボリの別荘から1791年に出土したもの。古代ギリシャ美術のマニアだったハドリアヌス帝は、この「円盤投げ」は大のお気に入りだったとか。
 ダイナミックかつ完璧なこの彫刻は必見です。

 天気の悪い中でも見に行った甲斐のある展覧会でした。

 「大英博物館 古代ギリシャ展」日程
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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

ハドリアヌス帝って確か賢君だけど両性愛者だった、てひとでしたっけ?
テルマエで出てましたよねw

「ありのまま」のギリシャを見せる、という企画、ホントに画期的でびっくりです(゜゜)



>塩枝さん

そうそう、テルマエにも出てるあの人です(笑)
それまでの帝国拡大路線を放棄するなどローマ帝国史上ものすごーく偉大な皇帝なのに
男の愛人持ったりして、寵愛していた美少年が事故死した後に帝国中に彼の神殿やら像やらを
造りまくったことでも有名な人です(笑)
彼のギリシャ趣味も、そのへんから来てるんじゃないかとか思っちゃいます。

今回の展覧会はそんな当時の文化がちゃんと紹介されていて
何の前情報も持たずに見に行ったのでびっくりしました。
いろいろ面白かったですよ~(笑)
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